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2/29(Thu) ~ 5/6(Mon) 10:00 – 17:00
千總ギャラリー ‒gallery2


《mori8》2023 片山真妃


《面》2021 木下令子


《帆/エンジェル》2023 高尾岳央


千總ギャラリー ‒gallery2

2024年度千總ギャラリーテーマ『ずらした先に』は、京友禅の分業制でのものづくりの各工程におけるずれを伴った重なりや繋がり、着物が着衣される際に内包する身体を想定した模様のずれが生み出す美をもとに着想された。
今回、展示していただく3名のアーティストはこのような「ずれを伴った重なりと繋がり」をそれぞれ異なった形で示している。

片山真妃はキュリー夫人などの人生や世界における春分・夏至・秋分・冬至などの季節・気候など、一見絵画のモチーフにはなり得ないようなものを緻密で長時間にわたるリサーチと独自の厳密なルールを用いて絵画に置き換えていく。錯綜し、重ねられ、美的な選択は回避されつつも、最終的に膨大な情報の網が美しい抽象絵画を描いている。

木下令子は紙や布などが生み出す皺やひだ・折り目などへの絵具の吹き付けや感光・日焼けなどによって、平面と思われるものが内包する柔らかく微細な空間を可視化してきた。それら吹き付けや感光・日焼けなどによって現れてくる像は当初の思惑から滑り落ち、知覚していなかった空間・変化・時間を現前化させる。

高尾岳央は文字や記号、そして建築や絵画における距離や視点が生み出す不確かさを自身の作品において確かなものにしようとする一見徒労とも思えるプロセス自体をモチーフとしている。化石によって恐竜をイメージすること。常に覆され続けてきたこのようなイメージの断片を横滑りさせることで繋ぎ止めてゆく。定着され得ないものを定着させようとするこの挫折こそがイメージすることの連鎖を生み出している。

この現代における三者三様の「ずれを伴った重なりと繋がり」が、数百年と続いてきた創造の歴史と触れることができたら幸いです。

池田光弘

日 時 2/29(Thu) ~ 5/6(Mon) 10:00 – 17:00
休館日 火・水
会 場 千總ギャラリー ‒gallery2
京都市中京区三条通烏丸西入御倉町80番地
展示作家 片山真妃・木下令子・高尾岳央
お問い合わせ 075-253-1555(千總本店)