1983年山口県生まれ、2006年国立大学法人豊橋技術科学大学卒業。現在東京を拠点に活動。2014年の初個展「わたしをもっと見て」をきっかけに本格的に活動をスタートする。受賞歴として「デイリーポータルZ 新人賞2017」優秀賞、2019年「イメージフォーラム・フェスティバル2019」観客賞など。主な展覧会として「 tttv」( 2018年、中央本線画廊 )、「あいちトリエンナーレ 2019」(2019年、豊田市まちなか会場)、「有酸素ナンパ」(2019年、埼玉県立近代美術館)がある。近年は特に映像を軸としたインスタレーションを発表している。
学歴
ぼくは10年にわたって建築設計に従事した経験から、人の感情や振る舞いを完璧に形態化することが不可能だということを身をもって理解しました。皮肉にもこのデザインの不可能性に対する諦念に近い気持ちこそが、アーティストとしての制作のモチベーションになっています。現在は「都市空間や公共ルールに歪みを生むアクションを行い、そのリアクションを含めた振る舞いを記録する」ことで制作をしています。
Over the years, I have been involved in the design of buildings and cities. The feeling that is close to a desire, to overcome the impossibility of perfect design, is ironically my motivation for creating as an artist. I create my works by taking actions that give birth to distortions in urban spaces and public rules, and record the behaviors that include reactions to the work.
皮相的には変哲もない都市にも、その場所々々には文化や思念やルールといったものが時間と共に(忘れ去られた形で)積層している。今、ここで現出しているものは正に氷山の一角であり、その場所は天文学的規模の情報を持っている。
トモトシは長く建築設計に携わる中で、“設計”に回収される事のない“都市と人との関係性”に可能性を感じ、アーティストとしてのキャリアをスタートさせている。作家はカメラを入口に、その膨大な情報の海に深く潜水を試みる。時にユーモラスにも映るアクション/リアクションは、過去のコンテキストを顕在化させ、未来の在り方に批評を加え、新たなコンテキストを物理空間と情報空間に書き加える。定まった構造、誰かが定めた設計やシステムに私たちの行動は予め規定されている(ように見える)。しかし、“未熟な都市”に住む未熟な私たちは誤読を避けられない。トモトシは、“都市”と“人”とに介在し意図的に誤読を誘発させる。そこで組み替えられたコンテキストは、本来閉じていた未来を一つづつ確実に開いて行くだろう。
(Yotta)