デザイン事務所でグラフィックデザイナーとして活動後、2015年から実家の稼業である看板屋の2代目を継ぐ。手書きのレタリングやドローイング、グラフィックといった平面のデザインを、電飾や看板など、さまざまな素材・媒体を用いて空間への展開を試みる。店舗や、ブランド、イベント、展示などのロゴ・CIのデザインも行い、看板のもつメディアとしての可能性を探求するための自主企画として『超看板』を2017年に開催、現在は衰退しつつある、看板のペイント技術の普及も目指している。
距離と時間のために看板を書いていると感じることがある。多くの看板は商業的な目的で置かれたものでありながら、時間の経過とともに、街のランドマークや、様々な役割が重なり合う。いわゆる看板だけでなく、同様の役割を担ったグラフィティ、グラフィックデザイン、テクノロジーも含め、「看板」を多義的に捉えていく。様々なコラボレーター達と共に、技術の懐古的視点ではなく、看板が持つメディアとしての可能性を探求していきたい。
I sometimes feel that I am painting signboards for distance and time. Many signs are placed for commercial purposes, however, they often take on various roles such as city landmarks as time passes.
In my project, I am trying to look at not only the so-called signboards but also graffitti, graphic designs and technologies that play similar roles to signboards, and to think about the signboard in various perspectives.
By working with various collaborators, I would like to explore the potential of signboards as a media, rather than a retrospective of craftsmanship.
自身がペインターとしてのバックグラウンドを持ちながら、家業である看板屋の二代目を継いだ廣田碧にとって、デザインとアート、ないしクリエイティブの境界は非常に緩やかな幅を持っている。彼女が2017年に開催した展覧会「超看板」では、看板というメディアが作家や職人、デザイナーといった、様々なクリエイターが表現しうるキャンバスであることを提示した。彼女の作品は人とそれに対峙する対象物の境界に起こるフィジカルな体験そのものであると言える。
(井口皓太)